コーディネーター3日目。
今日は2人の先生とのMTGだった。どちらも、それぞれ全然ちがう話で、でもどちらも「地域と学校のあいだ」にある話だった。
たまクエ、ついに動き出す
一つ目のMTGは、玉野高校の総合的な探究の時間から生まれた取り組み「たまクエ」について。
これは玉野高校版のシティロゲイニング。ロゲイニングとは、地図とチェックポイントをもとにチームで地域を巡る、いわばフィールドゲームだ。それを玉野の街に置き換えて、生徒たちが地域そのものを「学びのフィールド」に変えてしまおうという、なかなか面白い試みである。
玉野市観光協会のご協力もいただけることになり、ついに実現に向けて動き始めた。
思い返せば2年前、「これをやりたいんです」と熱く話してくれた先生がいた。そのとき私は迷わず「やりましょう!」と言った(笑)。あれから2年。正直、「本当にできるのかな」と思いながらも、ずっとその芽を枯らさずにいてくれた先生のおかげで、今日この日がある。
生徒たちの力で、大人たちの想いがカタチになる。コーディネーターという仕事をしていて、こういう瞬間に立ち会えることが、本当にうれしい。
先生それぞれの「地域の見方」がある
もう一つのMTGは、授業づくりや地域連携のリクエストをヒアリングするもの。
話を聞いていて気づいたことがある。先生によって、地域の「見え方」がまったく違うんだ。ある先生は地域の産業や歴史に関心を持ち、ある先生はひとや暮らしの文化として地域を捉えている。
どちらが正解とかではない。むしろ、その多様な「地域の見方」が教室に持ち込まれることで、生徒たちの探究はより豊かになるんだと思う。コーディネーターとして、その多様な視点をつなぐ役割が自分にはあるのかもしれないと、改めて感じた一日だった。
「スライド発表」だけでいいのか、という話
ちょっとまた個人的な意見を言ってもいいですか?笑
総合的な探究の時間。
その成果発表が「スライドでのプレゼンテーション」になることが多い。
確かにわかりやすいし、ある種の「社会的スキル」として意義もある。
でも私は、それだけでいいのかな、と感じることがある。
スライドだって、枚数が多ければいいわけじゃない。
ペライチ一枚に想いを凝縮したっていい。
ポスターでも、映像でも、展示でも、体験型のイベントでもいい。
これ、実は科学的な裏付けもある話なのだ。
認知心理学者のジョン・スウェラーが提唱した認知負荷理論によれば、人間のワーキングメモリには限界があり、情報が多すぎるとかえって理解が妨げられる。スライドの枚数を増やすほど伝わるわけではなく、「何を削るか」こそが伝達の本質だという考え方だ。
また、リチャード・メイヤーのマルチメディア学習理論では、情報の「量」より「構造と選択」が学習効果に直結することが示されている。つまり、ペライチで本質を突いた発表の方が、情報過多なスライドよりも「深い理解」を引き出す可能性がある。
さらに興味深いのが、発表形式の選択権が学習者自身にあると、エンゲージメントと深い学びが高まるという研究知見だ。
何をどう伝えるか、その「問い」自体が探究になる。
「スライドで発表する」という慣習を否定したいわけじゃない。
ただ、発表のあり方そのものも「探究」の対象にしてほしいと思っている。
どうすれば、自分たちの発見が一番伝わるか。
その問いに向き合うこと自体が、深い学びになるはずだから。
コーディネーター3日目。
想いがカタチになる瞬間に立ち会い、先生たちの多様な眼差しに触れ、自分自身の「伝わる」への問いを深めた一日だった。